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仕事の取り組み方を見失っている人におすすめする1冊【「0から1」の発想術(著:大前研一)】

「0から1」の発想術

総評

大前研一さんの著書。僕自身、大前研一さんが好きで、何冊か本を読んでいる。
この本は、「何かを生み出す」ための思考方法をまとめた本で、企画に仕事やイノベーティブな仕事に携わっている人に向いている。数ある大前研一さんの本の中でも、実践で使える思考方法について書かれているので、自分の考え方を見直してみる良いきっかけになった。

基礎編では、11の項目に分けて考え方が完結に整理されており、また具体例も例示されていて読みやすい。特に、日本企業の体たらくが露わに表現されており、大前研一さんらしく、ダメなものはダメだとばっさり指摘しており読んでいて痛快だ。

この本を読んで、改めて気づくことは「ユーザ視点」の大切さと、「仕事に感情移入する」という気持ちの大切さだ。
これらは基本的なことであるが意識しないと続かない。特に、会社という組織で仕事をすると、すぐに忘れてしまいがちだ。「あなたにとってお客さまは誰ですか」という問いに、「後工程の担当者」「上司」などと平然と答える人をたくさん見てきたが、誰にとってもお客さまは「エンドユーザー」でなければいけない。
だからこそ、創造的な仕事ができるし、仕事に感情移入して主体的に取り組むことができるのだ。

ユーザ視点に立つこと

一昔前までは、日本のテクノロジーやメイドインジャパンが世界を牽引していたというイメージがあるが、結局技術力だけが高いだけでユーザが望むものを提供できていないと改めて感じる。
お家芸であった携帯電話はiPhoneに乗っ取られ、日本企業はこぞって撤退。ユーザに届くスマートフォンを提供する日本企業はほぼなくなった。それだけでなく、iPhoneのディスプレイもサムスン、半導体も台湾製となってしまい、コンポーネント分野においても後手後手になってきている。シャープは中国に身売りし、東芝もボロボロだ。
この原因は、「ユーザ側に立った発想」が欠けていたことによって、ユーザから見放されたという、とてもシンプルな原因に起因する。

ユーザ視点に立って物を考えるというのは王道であり誰もが当然と思っているはずであるが、なぜか出来ていない。
この「0から1の発想術」では、大前研一さんなりの考え方がまとめられているが「0から1を発想する」ということよりは、きちんとユーザ視点で考えようという当たり前のことを問いかけている。

「会社として何を提供したいのか」ではなく、「ユーザはいったい何を求めているのか」と、ユーザ側から発想することが重要だ。ユーザが求めていること(目的)がわかれば、次にそれを達成するための手段(軸)はいくつあるのか、洗い出す。その手段の軸に沿って、具体的にできることは何かを検討して実施する。

至極当然であるし、とても簡単なことだ。しかしながら、特に「大企業病」にかかっている人ほど、ユーザそっちのけで物事を考え、仕事を進めてしまう。ユーザよりも、自分の評価が優先であるし、そのためには評価しやすい機能の高度化で勝負するのが手っ取り早いからだ。

そんなことはない、と思っている人は自分の仕事を見直してみよう。
何かと商品起点で考えてはいないだろうか。
著書でも触れられているが、デジタルカメラはスマートフォンに取って代わられているのは誰もが実感していることだ。これは、デジタルカメラ起点で物事を考え、デジタルカメラを高性能化したり、同業他社のカメラと差別化を図ろうとする軸でしか考えていないためだ。
いまやスマートフォンでは、コンパクトデジタルカメラと同じくらいの描写で写真を撮ることができる。ユーザが求めていたのは、「手軽に持ち運びができて、手軽にそこそこキレイな写真を撮りたい」という体験だ。携帯電話とデジタルカメラを2つ持ち歩くよりも、1つのでキレイな写真が撮れれば問題は解決するのは、今となっては明らかだ。
もっと本格的な写真を撮りたい場合は、一眼レフカメラを買うだろうし、さすがにスマートフォンのカメラはそこまでの写真は撮れない。僕がキャノンの経営者であれば、ユーザ起点で考えれば、コンパクトデジタルカメラからは撤退し、高性能な一眼レフカメラに投資を集中する。将来、間違いなく、コンパクトデジタルカメラ市場は無くなるのだから。

小さな穴を通して外の景色を見るというカメラの概念が考え出されたのは紀元前のことなので、カメラが誕生するまでに1800年以上の年月がかかった。フィルムカメラからデジタルカメラに移行するまでに100年。携帯電話に取り込まれるまでに5年。誰も、この加速度は予測できない。
(中略)
変化のスピードについていくためにはどうすればよいのか。
今の姿を把握しようとするのではなく「5年後にどうなっているか」という問いを立てるのだ。
(中略)
「この商品をどうするか」と考える「プロダクト発想」ではなく、たとえば「5年語にリビングルームはどうなっているか」という全体像
から考える方法だ。

当然のことであるが、予測するものは「商品やサービス」の将来像ではなく、個人の体験やライフスタイルそのものが将来的にどのように変化しているかと考えなければ、いくら考えても今の状況から抜け出せず、クリエイティブな発想は出てこない。しかし、残念なことにほとんどの伝統的な日本の大企業は、この状態だ。

仕事に感情移入すること

「好きだ」と思って続けていれば、何度でもチャレンジできる。壁にぶつかった時に「なんとかしよう」と頭をひねるから、アイデアが生まれる。
嫌々ながら仕事をしている人は、イノベーションなど起こせない。ただ単に給料をもらって目の前の仕事をこなしている「処理型ビジネスマン」は、発想から程遠い。成功した先人たちの教えからは、まず自らの抱える課題にどっぷり浸かって「感情移入」することが最も重要だということがわかるだろう。

好きだ、と思えないのであれば、その仕事はあなたに向いていない。
好きだと感情移入できるからこそ、クリエイティブな発想につながる。

大企業病にかかってしまうと、何も考えず指示待ちになる。
何か考えて仕事をしている気になっている人もいるかもしれないが、会社の伝統や文化、上司の考えの範囲でしか考えていない、ということはよくあることだ。
仕事に対して主体的になって、自分ゴト化して考えてみて欲しい。

「0から1」の発想術

「0から1」の発想術