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MBAの題材にもなっている良書。ITマネジメントに携わるリーダー必読の小説【ビジネスリーダーにITがマネジメントできるか(著:Robert D. Austin)】

ビジネスリーダーにITがマネジメントできるか -あるITリーダーの冒険

僕はずっとビジネス側のマネジメントに携わってきたのだが、ひょんなことからIT組織のマネジメントをしなければならなくなった。

僕は、ITに関するテクニカルな知識はほとんど持ち合わせていない。コードも書けないし、ネットワークを構築することもできない。
しかし、こういったテクニカルな仕事をしている人や組織をマネジメントしなければならなくなったのだ。

特に会社に所属している人で一定以上の上級マネジメント層であれば、こういった経験をする人は少なくないのではないだろうか。
組織に改革を求める会社である程、ビジネスリーダーをITマネージャーに据えて、風穴を空けようとする。

困るのは、ITマネージャーとして改革を任される方だ。
ITのことなど何も知らない。部下はテクニカルな知識を持つプロフェッショナル達。知識や言葉の壁だけでなく、部下が自分を認めてくれるまでに相当のハードルがある。
さて、どうやってIT組織をマネジメントしていこうか。

総評

この本は、いわゆるノンフィクションの小説である。

ノンフィクションであるのに、架空のマネージャーが抱える悩みや、会社が抱える課題がとてもリアルなのだ。
僕が実際に直面した悩みや課題と、ほぼ100%一致した。

本の紹介文より

金融サービス会社IVKで中核事業を率いていたジム・バートンは突然、「CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)」と呼ぶIT責任者への異動を言い渡される。IVK社の経営トップは、前任のCIOを解雇し、後任にバートンを指名した。不本意な異動を受け入れたバートンを待っていたのは苦労の連続だった。ITを知らないバートンを煙たがる部下、巨費を投じた大型プロジェクトの遅れ、ハッカーとおぼしき外部からのシステム攻撃…。コンピューターをダウンさせてしまったバートンは、解雇の瀬戸際にまで追いつめられる。果たしてバートンは、CIOとして成功できるのだろうか?バートンとともに、様々な難局を乗り越えていきながら、ITマネジメントの勘所を身につけることが出来る「小説」。


この書籍はハーバード大学やワシントン大学等のMBAの題材なっているらしい。それだけ取り上げている題材がリアルで、描写も現実的だと評価されているのだろう。

例えば、ITに関する予算をIT部門が管理すべきなのか、ビジネス部門が管理すべきかという問題は、多くのITマネージャーの悩みの種ではないだろうか。
実際に僕はこの課題に取り組んでいる最中だ。
ビジネス部門にとってあまり興味のない、共通インフラや基盤などを保守する費用をどのようにビジネス部門に振るのか。その重要性をどのようにビジネス部門とシェアするのか。とても悩ましい。
しかも、IT予算の管理方法を悩む小説上の新ITマネージャーは、過去にビジネス部門のリーダーであった経験があり、取締役会でIT部門から予算を剥奪してビジネス予算とした経験さえ持つ。まさに対峙していたのだから、IT部門の部下は敵が多い。しかし、ビジネス部門の気持ちも分かるが故に、IT部門が果たすべき説明責任を理解できることもある。

そうこうしている内に、サイバー攻撃が発生したり、大型案件が遅延したりと、IT部門では珍しくない話題がきちんと描かれている。それに右往左往しながら対峙していく新CIOバートンの行動は、とても勉強になる。

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テクノロジーの進化が目覚ましい中、ITに対する理解が無いとビジネスがあっという間に時代遅れになってしまう。
海外のとある金融機関は「我々は金融機関ではなく、ソフトウェア会社だ」と言い放ったのも話題になった話だが、この発言も決して大げさなものではないということが日々実感に変わっている。

ITマネージャーのみならず、IT部門に配属になった新入社員、IT部門と接点のあるビジネス部門、CEO、起業家、あらゆる人にとってITに関する理解を深めることができる良書となるはずだ。

ビジネスリーダーにITがマネジメントできるか -あるITリーダーの冒険

ビジネスリーダーにITがマネジメントできるか -あるITリーダーの冒険