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ビジネスマンも必読、ペイパルマフィアから学ぶ起業論【ZERO to ONE(著:ピーター・ティール)】

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

総評

この本は、とても勉強になった。

僕は本を読むとき、大抵の場合「重要だと思われる箇所」を探って読む。本には著者の主張とはあまり関係のない文章が含まれることが多いため、本のエッセンスだけを効率的に吸収したいからだ。

しかし、この本は全ての文章を読んだ。それだけ無駄がなくシンプルで、それでいて本質的だった。

本の著者であるピーター・ティールは、「PayPal」(ペイパル)の共同創業者の1人だ。
PayPalを創業したメンバーは、資金力と人脈の大きさから特にIT業界に大きな影響を持つことから、「ペイパルマフィア」という異名で知られている。シリコンバレー事情を少しでもかじったことがある人なら「ペイパルマフィア」のことを知っているはずだ。ちなみに「ペイパルマフィア」には、テスラ・モーターズを創業したイーロン・マスク、LinkedInを創業したリード・ホフマン、You Tubeを創業したチャド・ハーリー他等、ペイパルの他に著名な価値あるベンチャーの立ち上げに成功している。
ピーター・ティールは、「ペイパルマフィア」の中心的人物だ。

この「ZERO to ONE」は、スタンフォード大学の学生に向けて行った「起業についての講義」が元になっている。まだ、ビジネスを知らない若者に、起業についての基本的な考え方を語ることが目的であるために、難しい理論はなく、とても本質的な考え方で整理されている。
また、内容もどこかの受け売りではなく、ピーター・ティール自身の経験と、経験に基づいて考え抜かれた彼の持論がベースとなっているため、言いたい事が首尾一貫しており納得感も高い。

起業を考えている人はもちろん、あらゆるビジネスパーソンにとって必読の良書。ぜひ一読頂きたい。

ほとんど賛成する人がいないような大切な真実とは、なんだろうか?

この質問は、ピーター・ティールが人材採用の面接をする時に必ず投げかける質問らしい。

新しくビジネスをする時、どうしても先行事例の模倣や、広く消費者に受け入れてもらえそうな企画を考えてしまう。しかし、それでは必ず「競争」が起きてしまう。競争が起きるとビジネス利益はいずれ喪失してしまう。本当の意味で、ビジネスが成功するということは「独占」でなければならず、そしてそれが社会を変革することになる、というのが彼の考え方だ。

本の中でも要所、要所で、「既存ビジネスのコピーではなく世界を変えるようなイノベーション」を起こすことを説いている。
それを実行するには、自分の頭でしっかり考え、10年先20年先を具体的にイメージできることが重要である。各所でGoogleの事例を取り上げながら説明しているが、そもそもビジネスの目的は新しい価値を社会に提供するためであり、誰かを打ち負かすことではない。

この本を読んで、自分の周りのサービスや企業グルっと見回してみると、およそほとんどのサービスや企業が他社と競合状態にあることが分かる。つまり、「他に賛成する人がいる」状態のマーケットで競争しているのだ。
翻って、僕自身が考えるビジネスアイデアを振り返ってみても、やはり何かの焼き写しになってしまっている。もっと本質的に考え抜く必要性について、反省させられる。

本書では、競争に陥って失敗した事例や、イノベーションによって独占状態で成功した事例について、航空会社やソーラー発電業界の競争、テスラ・モーターズやFacebookの独占等、具体的事例をもって示されているので、とても読みやすく分かりやすい。

ビジネスの4原則

ピーター・ティールは、最近流行りのリーン・スタートアップを否定している。
リーン・スタートアップというテーマで何冊も本が発行されているが、簡単に言えば「ビジネスが未熟な状態であっても、とりあえず市場にローンチさせて、市場からフィードバックをもらいながらオンタイムでビジネスモデルを修正しながら成功を目指す」という方法論だ。

これに対して、ピーター・ティールは、ビジネスの4原則について以下のように示している。
1.小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい
2.出来の悪い計画でも、ないよりはいい
3.競争の激しい市場では収益が消失する
4.販売はプロダクトと同じくらい大切だ

これは、ITバブルがはじけた後のシリコンバレーで定石と信じられてきた方法と、全く逆の考え方だ。シリコンバレーでは、『小さく始めて、リーン・スタートアップを基本として、創造よりも改良を良しとし、販売よりもプロダクトを重視』という考えが定石だ。
しかし、市場のフィードバックによる改良ばかりでは、iPhoneやGoogleやテスラは生まれない。
ピーター・ティールが、なぜ4原則のように考えるのかは、本書の中で簡潔に述べられているが、その根源にあるものはピーター・ティール自身の経験だ。だからこそ、読んでいて納得する。

リーン・スタートアップが有効に機能にする場面もあるかもしれない。ただ、それは単なる手段の一つであり、原則的・原理的な考えではないと気付くことができた

最後に

この本を通して、ビジネスに対するとても本質的な考え方を学ぶことができた。
本質的とは、学校で学ぶ「アカデミック」とは全く異なる。実践から導き出された、現実的な本質だ。

単に、ピーター・ティールの言葉を額面として受け取るだけでなく、このような成功者の思考を客観的に辿ることができるのも、面白かった。

この本の最後に、以下の言葉がある。

今僕たちにできることとは、新しいものを生み出す一度限りの方法を見つけ、ただこれまでと違う未来ではなく、より良い未来を創ること―つまりゼロから1を生み出すことだ。

小さい頃に思い描いていたワクワクする未来は、待っていてもやってこない。僕たちが自分自身の手で創り上げるのだ。
言うのはとても簡単だ。
これを人のせいにせず、自分の責任で実行しようとする考え方に、とても大きく共感した。

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか